待ちに待ったメグスリノキの紅葉が、京都市内でも始まりました。メグスリノキはムクロジ科カエデ属の落葉高木で、赤や黄色の紅葉ではなく、上記の写真のように、この時期、葉(葉柄の先が3つに分かれ、小葉3枚からなる三出複葉)は透明感のあるピンク色に染まります。
メグスリノキは「千里眼の木」「長者の木」など数々の名前で呼ばれていますが、実際に植物園でこの木をご案内すると、ほとんどの方から「メグスリノキということは、この木は目薬になるのですか?」と尋ねられます。
植物や薬の世界に携わっている薬剤師Kahorinとしては、お尋ね頂いた皆様に心を込めて、まずは目薬の歴史から簡単に説明させて頂いています。
Kahorin
現在、薬局やドラックストアで購入できる点眼薬のように目薬が1滴ずつ出てくるような容器になったのは昭和30年頃からです。それ以前、例えば江戸時代や明治時代の目薬は、メグスリノキの樹皮や葉をカラメル状になるまで煮出し、冷やして小さな飴のように固めたものをハマグリなどの貝殻に詰めて販売されていました。
聞いてくださった皆様のほとんどが非常に驚きつつ、興味を持ってくださいます。そうなんです、昔は目薬って本当にメグスリノキから作っていたんです。
メグスリノキの面白いお話しはまだまだありますので、機会がありましたらセミナーなどで説明させて頂きますが、今回は、とにかく美しいメグスリノキの紅葉をお伝え出来ましたら幸いです。
なおメグスリノキの紅葉は、関西だけでなく関東地方でも、今年は12月上旬までお楽しみ頂けるのでは?と思います。