『桜は春に咲くもの、それは昔からそうだから・・・』と誰でもが思っていますが、上記と下記の写真は、ソメイヨシノとエドヒガンの10月末の風景です。一般的にこの様なサクラは「返り咲き?狂い咲き?」などと表現されています。が、本当にサクラは狂ってしまったのでしょうか?
もう一度、上記の写真2枚をご覧ください。この時期に開花しているサクラにはある共通点があります。葉がほとんどついていない枝のサクラだけが、秋に開花をしているんです。写真はありませんが、同じサクラの木でも、葉が付いている枝のサクラは開花していません。ということは、季節外れのサクラの開花には、「葉」が重要なカギを握っているようです。
ソメイヨシノに代表される春を彩るサクラの花芽は、通常、前年の夏の7~8月に作られます。
花芽が出来上がると、秋にもかかわらず春のようなポカポカ陽気の日などに、ついつい花が咲いてしまいそうですが、実は葉で作られる植物ホルモンのアブシシン酸を分泌することにより、花芽の開花を「Stop」状態にします。
ですので葉がついている枝の場合、葉から送り込まれるアブシシン酸によって開花がコントロールされることで、気温が高くても花を咲かせることはできません。
一方、台風による強風や猛暑などの理由で葉が落ちてしまった枝の場合は・・・葉が無いため、花芽にアブシシン酸を届けることが出来ず、結果的に秋に花が咲いてしまう場合があります。
日本のサクラはソメイヨシノに代表されるように、ほとんどが春に花を咲かせる品種のサクラですが、わずか数品種ではありますが、秋に咲くサクラもあります。10月から11月にかけて花を咲かせるヒマラヤザクラ、ジュウガツザクラなどです。
ところで、日本に自生するサクラの祖先はヒマラヤからやってきたという説をご存知でしょうか?そのヒマラヤザクラの開花期はまさに今の時期「秋」、ということは「本来、サクラは春ではなく、秋に開花する植物⁉」かもしれません。