『センブリ君』(Swertia japonica)に出会えた秋の植物観察会

植物観察会

「千回振り出しても苦い」と言われるほど、苦みの強い、しかも苦味に残留性のある植物として有名な薬草、その名は『センブリ君』(Kahorinは、昔からセンブリ君と呼ばせて頂いております、笑)、主な生育地として日当たりの良い山野に自生している2年草ですが、近年、数が激減しており、2023年11月時点で、あくまでも都道府県レベルではありますが、12の都府県で絶滅危惧種に選定されています。

センブリ君は、ドクダミ、ゲンノショウコ(ちなみに、ゲンノショウコの花の色は関東と関西で異なります)と共によく知られた日本の代表的な民間薬で、9月~11月頃、白い花びらの中央に紫色のすじが入る可愛らしい花を咲かせます。茎は丸くなく四稜形、一つ一つの花は直径2cm程度、とても小さいんです。
センブリ君は春に発芽し、翌年の秋、もし2年間で大きく育たなかった場合はその次の秋に開花し、種子を残して枯れてしまいます。

5弁の花の咲き始めは、おしべの先の葯の黒っぽい色が目立ちますが、いつの間にか葯がなくなると、何となく少し違った花にも見えます。日が当たると開きますが、周囲が暗くなると閉じます。

実はセンブリ君、見かけによらず、花・葉・茎・根のすべてが苦く(苦味成分は苦味配糖体のスウェルチアマリン)、この苦さはリュウタン(竜胆:リンドウの根)の数倍から数十倍と言われています。この苦みは、胃液の分泌を促進し、消化を助ける効果があります。

またセンブリ君は、毛根の細胞賦活作用や、末梢血管を拡張することによって血行を促進させる作用を持つことから、育毛・発毛促進効果も期待されています。(参加者の皆様、この説明で、急にメモを取り始めました!)

今回の観察会で、実際にセンブリ君の姿が目に入ると、何故かウルウルしてしまいました。本当に貴重な植物になってしまったセンブリ君に今年初めて出会えたので・・・

その後、センブリ君のご紹介をしながら、センブリ君を漢字で「千振」と書き、ところで、なぜ「百」や「万」ではなく「千」なのか?中医学の世界の「千」の意味や、折角ですので、仏教界での「千」、例えば千手観音さまの「千」、一般的な千手観音さまの仏像は1000本ではなく通常42本の手をお持ちですが、実際に1000本前後の手をお持ちの観音さまもいらっしゃいます・・・みたいな、おまけのお話しもさせて頂きました。
(^^♪ ご興味あれば、大阪の葛井寺、奈良の唐招提寺、京都の寿宝寺を訪れてみてください

今回は、当初の観察場所を変更して、特別に大学の研究施設での観察会となり、大変貴重な機会だったと思います。参加された皆様から「楽しかった・勉強になった・あっという間でした」などなど、嬉しい感想をたくさん頂きました。
開催日程は未定ではありますが、次回の植物観察会へのご参加を心よりお待ちしております。

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