2024年初夏の植物観察会では「アジサイ」「アヤメ科植物(アヤメ・ハナショウブ・カキツバタ)の見分け方」「ハンゲショウと生薬のハンゲ(半夏)」「オオバコ」などなど、6月に見頃を迎える植物、約12~13種のお話しをさせて頂きました。
観察会の最後に、ハスとロータス効果、ハスと仏教との関わり、また少し欲張って蓮糸(ハスの茎からとれる、とても希少な繊維を糸状にしたもの)と中将姫のお話しまで、傘をさすことなく過ごしやすい気温に恵まれた日曜日の午後、今回も盛りだくさんの内容で、第3回目の観察会@京都御苑を無事終えることが出来ました。
観察会でお話ししたハスは、日本をはじめ、中国やインド、東南アジアなどでよく見られるハス科の植物ですが、今回は、ハスとよく間違えられるスイレン科「スイレン」のお話しを少しだけ・・・
(^^♪ ハスとスイレンの違いは、別の記事に記載させて頂く予定です。
スイレンは、エジプトの国花であることをご存じでしたか?スイレンとエジプトの歴史はかなり古く、紀元前3000年頃に始まっているようです。
当時のエジプトは、上ナイルと下ナイルという2つの勢力により統治されていました。記録によりますと、下ナイルのシンボルは紙の原料でも有名なパピルスというカヤツリグサ科の植物、一方、上ナイルのシンボルが、ブルーロータス(スイレン)でした。
以前、大英博物館やエジプト考古学博物館、メトロポリタン美術館を訪れた際に見た壁画には、鮮やかなコバルトブルーやターコイズブルーのスイレン(日本語では「青いハス」と誤訳されていますが・・・、ハスではなくスイレンです‼)が壁画の様々な場所に描かれており、ブルーロータス(スイレン)は、古代エジプト文明の神秘さと美しさを象徴する花として、今でもはっきりと記憶に残っています。
これから海外旅行の予定があり、植物や古代エジプトの世界にご興味があれば、是非、壁画に描かれたブルーロータスを実際にご覧になってみてください。世界中の有名博物館や美術館(ルーブル美術館やベルリン国立博物館でも所蔵されています)で、鑑賞することが出来ます。もちろん、訪れる際には事前に公式サイトのご確認をお願いします(笑)
スイレンには大きく分けてヨーロッパや北アメリカ原産の温帯スイレン(耐寒性スイレン)と、アフリカや東南アジア原産の熱帯スイレンがあります。
初夏から、幻想的な姿で水面にぽっかりと花を浮かべているのが温帯スイレン(19世紀フランスの印象派画家クロード・モネが愛したスイレン)、一方、熱帯スイレンの花(下記の写真)は水面より高い位置に、ピンク~青~紫色の花を咲かせます。
ちなみに壁画に描かれていたブルーロータスは、花弁の形や茎の長さ・生育地域から推測しますと、熱帯スイレンのように見えます。
(^^♪ 補足:紀元前3000年頃に、現存していない別の種類のスイレンがあった可能性もありますので、あくまでも推測ということで・・・)