「葉」に秘められた凄いチカラ -七夕の日にー

誰かに話したくなる植物のお話

今日は7月7日、織姫と彦星が年に一度だけ巡り合う特別な夜、皆さまは今年、短冊にどのような願いを込めるのでしょうか?

「笹の葉 さらさら のきばにゆれる~」誰もが口ずさんだことのある心地よいメロディですが、実際に七夕飾りに使われているのは笹でなく、マダケやモウソウチクといった竹の仲間が多いです。それは、竹の仲間の方が背丈は高く、しなやかに風に揺れるため飾りが映え、風情もあり、何より笹に比べて竹は手に入れやすいという実用面での理由があったからかもしれません。しかしながら…

Kahorin
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日本の文化において、「笹」という言葉は特定の植物種を指すだけでなく、イネ科タケ亜科に属する植物全般、特に清らかさや生命力を象徴する存在として、広く使われてきた慣習があったように思います。これは単に植物の分類が曖昧だったというだけでなく、言葉が持つ象徴的な意味合いが、実用的な分類よりも優先される日本の文化の一面をよく表しているのではないでしょうか。

例えば、笹の葉を舟の形にして願い事を書き、それを水に流すことで心身の穢れを清め災厄を祓うと考えられていた笹舟、たいていは笹で作りますが、少し大きめの竹の葉で作ることもあり、ここでも「笹」という言葉が広く使われています。

七夕に歌われる「笹の葉 さらさら」は、厳密に分類する植物学上の「ササ」というより、日本の言葉や文化の奥深さを感じさせてくれる、素晴らしい表現の一つのように思えます。

ちなみに、「笹や竹の見分け方」や「笹や竹は木か?草か?」を良く尋ねられるのですが、笹や竹を目の前で観察しながら説明させて頂く方が分かりやすいと思いますので、次回の観察会などでお話しさせて頂きます。

実は『笹』『竹』の葉には、単なる飾り以上に驚くべき「天然のチカラ」が秘められています。 今回は七夕の日に、身近な植物の葉に宿るチカラについて探求してみたいと思います。

笹の葉の秘めたチカラ

笹団子や笹寿司(柿の葉寿司のように笹の葉で包んだお寿司)など、和菓子や郷土料理には笹の葉がよく使われます。

< 笹の葉が持つ特性 >
※ 抗菌作用: 笹の葉には、昔から食べ物の鮮度を保つための天然の防腐剤として知られる成分(安息香酸など)が含まれています。
※ 香りの良さ: ほのかに漂う清涼感のある香りが、和菓子やお寿司の繊細な風味を一層引き立てます。
※ 適度なサイズと柔らかさ: 食品を包むのにちょうど良い大きさで、比較的、葉はしなやかで扱いやすいです。

笹の抗菌作用に関して、特にクマザサに関する研究が多く行われています。クマザサには、食品の防腐剤としても広く使われる有機酸類の安息香酸、様々な種類の抗菌作用を持つフェノール性物質の化合物群、ウイルスに対する親和性が高いリグニン配糖体などが含まれています。
これらの成分の抗菌作用のメカニズムも解明されています。簡単に言えば、これらの成分が細菌の細胞膜にダメージを与えたり酵素の働きを阻害したりすることで、菌の増殖を抑制すると考えられています。

竹の葉の秘めたチカラ

竹の葉や竹の皮(正確にはタケノコの皮である稈鞘)は、ちまき、おむすび(昔の携帯食)、おこわや肉まんなど蒸し物の下敷きなど、中華料理や日本の伝統的な食品(加熱調理したもの)に多く使われています。

< 竹の葉が持つ特性 >
※ 抗菌作用:竹の仲間、特にモウソウチクには、広範囲の菌に対する抗菌効果が確認されています。葉から発散されるテルペン類やポリフェノール類にも抗菌作用があります。
※ 吸水性・通気性:竹の皮は適度な吸水性と通気性があり、蒸し料理で余分な水分を吸収しつつ、べたつきを防ぎ、ご飯などを美味しく保つ効果もあります。
※ 独特の風味: 加熱することで竹特有の香りが立ち上り、その香りがお米や具材に移り、独特の風味を加えます。竹は、ちまき料理には欠かせない大切な材料なのです。
※ 耐熱性・耐久性: 加熱調理するものを包む際に、高温に晒されても破れにくい耐久性があります。

プラスチック容器がなかった時代、竹は、まさに環境に優しい天然の高性能パッケージだったのです。竹の抗菌作用も笹のように、含有成分が細菌の細胞壁や細胞膜に作用したり代謝を阻害したりすることで菌の増殖を抑えると考えられています。また竹は多孔質構造を持つことで、匂い成分や一部の有害物質を吸着する消臭効果も知られています。

七夕の日に

加熱しない繊細な食品には笹の葉、加熱や調理には竹の葉や竹の皮という使い分け、まさに先人の知恵の結晶です。単なる植物としてだけでなく、生活に深く根ざした素材としての笹や竹の機能性やチカラを理解しますと、昔の人々と自然への感謝の気持ちが一層湧いてきませんか?

七夕の夜空に輝く星々を見上げるとき、私たちは短冊に込めた願いだけでなく、その願いを託す笹や竹にも、あらためて目を向けてみてはいかがでしょうか?そして七夕の夜は、織姫と彦星の物語に思いを馳せるだけでなく、「私たちを支えてくれている大自然の恵み」そして「自然にずっと寄り添って生きてきた先人たちの心と知恵」に敬意を払い、そっと感謝の気持ちを込める日かもしれません。



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