Happy Holidays!

誰かに話したくなる植物のお話

中世のドイツでは、モミの木(マツ科モミ属の常緑針葉樹 Abies firma)には小人(こびと)が宿るという伝承がありました。小人たちは、森の番人として植物や動物たちを守り、また人間にも親切で、時には願いを叶えてくれるとも言われていました。この伝承は、中世のドイツの民間信仰に基づくものです。 (^^♪ 学名の「Abies」とは、厳しい条件下でも生き続ける「永遠の命」の意味です。

常緑樹のモミの木は冬でも葉を落とさないため、当時の人々は、生命力や永遠性のシンボルとして、そして、モミの木が小人たちの住処としてふさわしい樹木と考えたのかもしれません。

クリスマスツリーには、星や天使・鈴・キャンドルなどの他、小人のオーナメントが飾られますが、その理由など、チモ博士に教えて頂きましょう。

チモ博士
チモ博士

クリスマスツリーに、小人を飾る習慣のはじまりや理由には諸説あります。
その一つとして、16世紀のドイツで始まったという説です。当時のドイツでは、人々にとって小人とは森の妖精さんや精霊さんそのものであり、クリスマスの時期になると、小人がプレゼントを運んできてくれると信じていました。そのためクリスマスツリーに木の実やリンゴ・キャンドルだけでなく小人のオーナメントを飾り、プレゼントを運んできてくれるよう願うようになったようです。           

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また別の説として、19世紀初頭にドイツの作家・画家であるエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンが、童話「くるみ割り人形とねずみの王様」を発表したことにより、クリスマスツリーに小人を飾る習慣が広まったとも言われています。この童話の中で、くるみ割り人形はクリスマスツリーに飾られた小人たちの王様であり、ねずみの王様と戦って勝利します。このお話しは子供達にとても人気があり、クリスマスツリーに小人を飾ることで、魔法や夢の世界を表現していたようです。



ところでモミ(マツ科モミ属)は、同じマツ科のマツ属と本当に同じ科なのかとビックリ⁉する程、生き方が異なります。ここで、それぞれの属にはどのような樹木がいるのか?を確認しましょう。

マツ科モミ属:モミ、トドマツ、ウラジロモミ、シラビソ

マツ科マツ属:アカマツ(レメディのPINEです)、クロマツ、ゴヨウマツ、ヒメコマツ

大きな違いの一つとして、マツ属は陽樹ですので、日当たりの悪い場所では枯れてしまいます。一方、モミ属は耐陰性の樹木で、日光があまり入らない日陰でも成長できる性質を持っています。他にも違いはありますので、この辺りは次回の植物観察会でご説明させて頂きます。

本場ヨーロッパのクリスマスツリーは主に「ドイツトウヒ」「モミ」ですが、日本では「ウラジロモミ」というモミ属の樹木が多く使われているように感じます。
街中でクリスマスツリーを見かけたら、葉の裏側をチラッと観察してみてください。ウラジロモミの葉の裏には2本の白い筋(気孔帯)がはっきり見えるのですが、「モミ」は白い気孔帯がほとんど目立たず全体に緑灰色をしています。

Merry Christmas!  どうぞ、素敵なクリスマスシーズンをお過ごしください

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