美しい雑草 Commelina communis

誰かに話したくなる植物のお話

ツユクサは一日花と言われています。早朝は元気に咲いていますが、光が地面に届く頃には萎んでしまうので一日花ではなくて、実質、半日ほどのはかない命。その短い時間内でいかに子孫を残していくか、ツユクサには、過酷な状況下で生き抜くための巧みな戦略があります。

↑の画像、ツユクサの花の上に白い子ウサギが乗っているように見えませんか(笑)

チモ博士
チモ博士

まずは、ツユクサの花の構造を覗いてみましょう。

上から下に向かって、がく片3枚、花弁3枚(青色2枚+白色1枚)、雄しべ合計6本、雌しべ1本で構成されています。
6本の雄しべのうち、下記の画像中央の黄色く目立つ3本の短めの雄しべ(青色の花弁に重なって見えるところです)は、虫にアピールするだけの花粉のない見せかけ?ダミー?の雄しべ(仮雄しべ)です。そして3本の雄しべの下にひっそりと、でも僅かに黄色く見える1本の雄しべ(ちょっと見にくくて、すみません)、ここには少しだけ本物の花粉をつけています。

チモ博士
チモ博士

下に長く伸びる3本のうち、両側2本が本物の雄しべで、その間に雌しべがあります。
虫が僅かに黄色く見える1本の雄しべに付着している少量の花粉を食べてる間に、虫のお腹に花粉がたっぷりとつくように、本物の雄しべにはたくさんの花粉が準備されているのです。

虫を呼ぶための周到な作戦として、ツユクサは長さが違う3種類の雄しべ(偽物3本+やや本物1本+本物2本)を用意して、受粉の成功率を上げています。

でも、ツユクサの戦略はまだ続きます。
開花している僅か半日のなかで、虫が訪れてくれない可能性もあります。植物界にとって、虫に頼ることはかなりのリスクでもあります。

虫による受粉が難しいと判断したツユクサは、本物の2本の長い雄しべをクルクルと巻き寄せて、お隣の雌しべと受粉します。つまり、自家受粉システム(自分の花粉で受粉する)を備えているのです。この方法で、確実に子孫を残すことが出来ます。

「雑草」などと呼んでは申し訳ないツユクサ、実は知恵のかたまりだったのです。
さらにツユクサは鴨跖草(おうせきそう)と呼ばれる生薬(薬用部位:全草)で、かつて解熱・浮腫・感冒・のどの痛みに利用されていたそうです。

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