シナモン、実は色々な種類があります。

メディカルハーブ

シナモンは、漢方やメディカルハーブの世界では薬用として古くから利用されてきましたが、最近では、スーパーフードとして美容や健康維持の目的でサプリメントのかたちで取り入れていらっしゃる方も増えています。今回は、身近なスパイス『シナモン』の話題をお伝えします。

シナモンの種類

「スパイスの王様」と呼ばれるシナモンの名称で流通しているものには「セイロンシナモン」「カシア」があり、また京都のお土産品でも有名なお菓子「八つ橋」には、シナモンとよく混同されがちな「ニッキ」が使われています。いづれもクスノキ科ニッケイ属Cinnamomum)の常緑樹由来です。ちなみに、属名のCinnamomumとは、古代ギリシアの言葉で【香り高い湾曲する樹皮】という意味のようです。

セイロンシナモン: セイロンニッケイ(Cinnamomum verum)の樹皮

主な産地: スリランカ、インド、インドネシア、マダガスカル
主な作用: 消化促進、体を温める、心身の疲れを癒す、眠りを誘う
風味と色: マイルドな甘い味 /   薄茶色(黄褐色)
注目する成分: オイゲノール、桂皮アルデヒド
用途: 京都かほ里メディカルハーブのブレンドには、「セイロンシナモン」を使用しています。

★ ヨーロッパでシナモンと言えば、「セイロンシナモン」のことです。

セイロンシナモンのスティックは、「外樹皮」または「コルク層」 と呼ばれる一番外側の樹皮を取り除き、「内樹皮」と呼ばれる薄い樹皮を何層にも重ねて丸めながら形を整え、乾燥させて作られます。手で崩せるほど柔らかく粉々になりやすいことから、丁寧に取り扱う必要があります。
ホテルのラウンジや格式の高いカフェで、紅茶やチャイなどに添えられているシナモンスティックは、こちらのシナモンが使われていることが多いです。

「セイロンシナモン」を使用しております、京都かほ里メディカルハーブブレンドのご紹介

 ※ フィーメイルフォーミュラ『補腎&温』
 ※ ハーブフォーザマインド「巡り」
 ※ 新ブレンド「Warm & Dream」( 2023年11月下旬から販売を開始致しました)

カシア・生薬「桂皮」: カシア(Cinnamomum cassia)の樹皮

主な産地: アッサム地方(インド東北部)、ミャンマー北部、ベトナム、中国
主な作用: 消化促進、駆風、鎮痙、血管拡張、発汗、収斂
風味と色: より強い甘さと苦みがかった渋味もある /  濃い赤茶色
注目する成分: 桂皮アルデヒド、クマリン
用途: 漢方薬で使われる生薬「桂皮」は、「Cinnamomum cassia J. Presl (Lauraceae)の樹皮または周皮の一部を除いた樹皮」と日本薬局方に定められています。

★ 北米でシナモンと言えば、主に「カシア」のことです。
★ 最近、アンチエイジングを目的としたカシアのサプリメントが販売されていますが、これは主にクマリンという成分の働きによるものですので、摂取量にご注意ください。

カシアはクマリンという成分が多く含まれているため、成人1日1g以上の過剰摂取により、肝機能障害を起こす可能性があることを、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR:Bundesinstitut fur Risikobewertung)から提言されています。

なお様々なデータから、セイロンシナモンはカシアに比べてクマリンの含有量が非常に少ないことが報告されています。京都かほ里メディカルハーブブレンドティーには、カシアではなくセイロンシナモンを使用しているため、クマリンの過剰摂取に関しまして、特に問題はないかと思います。

「麻黄湯」「葛根湯」「桂枝湯」「桂枝加芍薬湯」をはじめ、「十全大補湯」「五苓散」「人参養栄湯」などなど、有名な漢方処方には、桂皮として「カシア」が配合されています。

セイロンシナモンと近縁種とはいえ、カシアのシナモンスティックは外樹皮は残したまま細く丸めて乾燥させて作られるため、木のような質感で手で崩せないほどの固さです。香りも強く、濃厚な甘さとスパイシーさを特徴としているため、お手軽価格のカフェなどでチャイに添えられているシナモンスティックは、カシアの場合が多いのでは?と思います。

ニッキ: ニッケイ( Cinnamomum sieboldii)の根皮

主な産地: 日本、中国
主な作用: 食品の風味付け、消化促進
風味と色: 甘さとシャープな辛み / 濃い褐色
注目する成分: 桂皮アルデヒド
用途: 主に製菓や料理に使われます。ニッキ飴や京都の「八ッ橋」をはじめ、昔は駄菓子屋で、子供のおやつとして細い根を束ねたものが売られていました。

★ 江戸時代に中国からニッケイの樹木が伝来し、日本で栽培が始まったことから、日本産の肉桂、通称「ニッキ」が流通するようになったとのことです。

セイロンシナモンとカシアは幹の樹皮を乾燥させて使うのに対して、ニッキは根の部分を使います。ちなみに、根の部分を収穫するには15年以上かかると言われています。また根を手作業で掘り返すことなどから、生産には手間も必要となり、貴重なスパイスの一つです。

クスノキ科(Lauraceae)の樹木、どうぞ観察してみてください

クスノキ科は、世界中で2000種類以上あるのでは?と言われるほど大所帯のグループで、葉や枝から香りを放つものが多いように思います。これは、アロマテラピーでは欠かすことの出来ない精油成分を含む組織があるためです。
今回ご紹介しましたシナモンをはじめ、クロモジ、クスノキ、ヤブニッケイ、カゴノキ、タブノキ、シロダモ、ワニナシ(別名:アボカド)、ダンコウバイ、ゲッケイジュ(別名:ローリエ)などなど・・・

機会がありましたら、是非、植物園などでクスノキ科樹木の観察をしてみてはいかがでしょうか?

★ 2023年11月の京都御苑・植物観察会では、クスノキ(Cinnamomum camphora)の観察を予定しております。ご参加される皆様、どうぞお楽しみに!



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