年々強くなる傾向にある強烈な夏の日差しを浴びますと、気になるのが紫外線による私達の体への影響です。人生100年時代を迎えるにあたり、いつまでも若々しく生きるためには、健康に関心を持ちつつ、リスクへの意識を高めることも大切です。
そこで今回は、紫外線により発生する「活性酸素」問題とその対策についてのお話しです。
紫外線が、皮膚に良くない理由 ー 紫外線の種類とその影響
太陽光線には私たちの目に見える「可視光線」のほか、「赤外線」「紫外線」「X線」「ガンマ線」などがあります。さらに紫外線はその波長の長さによって「A波(UV-A)」「B波(UV-B)」「C波(UV-C)」に分類されます。
なお、紫外線の中で地上に到達するのは「UV-A」と「UV-B」、「UV-C」はオゾン層で吸収されてしまうので地上には到達しません。
<UV-A(波長が長い)→別名:老化紫外線>
・表皮にある淡色のメラニン色素を濃い色に変化させ、皮膚を黒化させる
・真皮の深くまで到達し、真皮を構成するコラーゲンに影響を与え、繰り返し浴びるとハリや弾力が失われ、シワ・たるみの原因に
<UV-B(波長は中位)→別名:炎症紫外線>
・短時間で皮膚が赤くなる・水ぶくれなどの炎症を引き起こし、メラニン色素を増やす
・大部分は表皮で吸収されるが、繰り返し浴びるとシミやソバカスなどの原因になるだけでなく角質層の保湿力が低下し皮膚は乾いてくる
紫外線を浴びることによって、私達の体内で活性酸素が発生します。
活性酸素自体は、細菌やウイルスを攻撃し病原菌から守る、炎症の抑制、細胞の修復など様々な役割を果たし必要不可欠な物質ですが、活性酸素が過剰に発生してしまいますと私達の体にとって有害物質となり、シワ・たるみ・シミなど皮膚のダメージを招くだけでなく、正常な細胞までも傷つき、血管や内臓などの細胞の老化を引き起こします。
「活性酸素」から身を守る方法
酸素にふれて金属が錆びるように、紫外線を浴びることで発生する過剰な「活性酸素」により細胞が酸化(=錆びつくイメージ)してしまい、老化・生活習慣病・がん・認知症など、さまざまなトラブルが生じます。ちなみに紫外線だけでなく、ストレス・激しい運動・睡眠不足・過度の飲酒・パソコンや携帯電話の電磁波や大気汚染などの生活環境も活性酸素を多く発生させる原因と考えられています。
知れば知るほど「活性酸素」の存在は私達を不安な気持ちにさせますが、実は活性酸素に対抗して身を守る方法があります。
それは、植物が作り出す天然の化学物質ファイトケミカル(phyto-chemical)を摂取する方法です。
植物のほとんどは直射日光を浴びて生育しますが、紫外線は植物にとって厄介で、多量に紫外線を浴びますと人間と同様に活性酸素が作られ、遺伝情報を管理するDNAが傷つけられてしまいます。
そこで植物は活性酸素を減らすことができる抗酸化作用のあるファイトケミカルを自ら作り出し、DNAを守っています。
ファイトケミカルをイメージしやすいように、別の言葉で表現してみました。
* 植物のチカラ
* 植物の恵み
* 植物が考えた護身用成分・防災対策(!)
* 植物界を繁栄させるための知恵
* 植物が強く賢く生きるための工夫
いかがですか?余計、分からなくなった方、ごめんなさい。
帽子や日傘、日焼け止めクリームなど外からの紫外線対策は大切ですが、「活性酸素」から身を守る方法として「抗酸化作用」のあるファイトケミカルを摂取することにより、体の内側から活性酸素のダメージを最小限に抑えることができます。
次回は、植物が作り出すファイトケミカルって実際にはどのような物質なのか(ヒント:ポリフェノールのことです)のお話しです。どうぞお楽しみに!
炎症が起こった皮膚は、防御反応によってメラニン色素を多量につくります。メラニン色素は紫外線をよく吸収する作用があることから、あらかじめメラニン色素を作ることで次の紫外線に備え、皮膚を守ろうとしています。
またUV-Bは、細胞にある遺伝子組織(DNA)に影響を与え、皮膚がんの要因にもなると考えられています。