ホワイトチェスナットからの学び(その1)

フラワーレメディ

ホワイトチェスナット(Aesculus hippocastanum)は、バルカン半島~トルコを原産地とする落葉高木です。フランス語名である「マロニエ」としても親しまれており、昔からヨーロッパ各国で街路樹や公園樹として利用され、現在でもパリのシャンゼリゼ通りの並木は有名です。

Kahorin
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「アンネの日記」の作者のユダヤ人少女、アンネ・フランクが第2次大戦中にナチス・ドイツの迫害から逃れ、身を隠していたアムステルダムの家の窓から眺めたことで知られている「アンネの木」と呼ばれていた木が、今回のお話しのホワイトチェスナットです。

隠れ家生活を続けるアンネが、安らぎと希望の象徴として眺めていた裏庭の樹齢170年のホワイトチェスナットの木。一歩も外に出ることを許されなかったアンネにとって、この木が季節ごとに変わりゆく姿を見ることで四季を感じることができたそうです。

上下画像は、ホワイトチェスナットが満開の5月頃の写真です。


ホワイトチェスナットの花を良く観察しますと、色の違いに気づきます。
花弁の基部にある色づいている部分は蜜標と呼ばれ、「ここに蜜がありますよ」とマルハナバチさんに知らせています。
開花から大体3日間は黄色で、花自体は白っぽい感じに見えます。この間、蜜が盛んに分泌され、たくさんの花粉を作り出します(葯1本あたり、約1万個‼以上の花粉が作られるらしいです)。蜜を目当てにやってきたマルハナバチさんたちは、蜜をもらったお礼に花粉を運んでくれます。

↑の画像、蜜標が黄色の花に止まっています。

開花から4日以上たちますと、蜜標が次第に赤みを帯びてきて、蜜・花粉の生産は終了です。この頃になりますと、花全体が赤っぽい感じに見えます。マルハナバチさんは、ホワイトチェスナットの花が赤くなると訪問しなくなります。
しかし、マルハナバチさん以外の昆虫、例えば、コハナバチやチョウ類は、黄色のホワイトチェスナットにも赤色に変化したホワイトチェスナットの花にも蜜を求めてやってきます。

チモ博士
チモ博士

ホワイトチェスナットにとってマルハナバチさんはポリネーター(花粉媒介者)と呼ばれ、花が提供する蜜を求めて花から花へ飛びまわる際に花粉を身体につけて運び、自力で移動できない植物にかわってその交配を助けます。

一方、コハナバチやチョウ類は、交配を手伝わないで蜜のみを盗んでいく盗蜜者‼なんですよ。

ホワイトチェスナットは、マルハナバチさんが色の変化を認識できることを分かっているようです。そのため、ポリネーター(花粉媒介者)であるマルハナバチさんだけに分かってもらえるよう、蜜標の色でサインを送っているのです。

このお話しは次回に続きます。

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