オレンジスイート精油 vs マンダリン精油

アロマテラピー

日本国内でアロマテラピーを実践されている方々の中で人気の精油(エッセンシャルオイル)ベスト5をご存じですか?調査方法や年代により多少、順位は入れ替わりますが、大体、以下のような精油が上位を占めています。

  • ラベンダー
  • オレンジスイート
  • ベルガモット
  • ペパーミント
  • グレープフルーツ

予想通り爽やかで気分もリフレッシュできる柑橘系精油の香りは、やはり人気です。今回は人気のオレンジスイート精油と、存在感はオレンジスイート精油にやや負けてはいますが、実力は決して劣らないマンダリン精油のご紹介です。

柑橘系の皮をむいた時にフレッシュな香りが漂いますが、あの香りがモノテルペン炭化水素類のリモネンという成分です。
リモネンはオレンジやグレープフルーツ、ユズなど柑橘系精油に共通した特徴的成分(含有率はそれぞれ異なります)で、もちろんマンダリン精油にも含まれています。

オレンジ精油

オレンジ精油には、オレンジスイートとオレンジビターの精油があります。まずは、簡単に違いを確認しましょう。香りはそれぞれ全然違いますので、機会があれば香りを比べてみてください。

オレンジスイート精油(Citrus sinensis)

オレンジと言えば、地中海やカリフォルニア、フロリダなどをイメージするかもしれませんが、原産国は何とインドです。インドから中国を経由して地中海に伝わりました。
インドが原産ということは、寒さにあまり強くない植物なのではと想像できます。

チモ博士
チモ博士

建物とともに世界遺産として登録されているフランス式庭園の最高傑作、ヴェルサイユ宮殿内の広大で左右対称の幾何学様式を取り入れた庭園は、イタリア式庭園を学んだ造園家アンドレ・ル・ノートルによるものです。

王妃マリーアントワネットが夫であるルイ16世から贈られた「プチ・トリアノン」の建物の周囲は、王妃マリーアントワネットが好んだ美しい花々、特にバラで埋め尽くされていたといわれていますが、ヴェルサイユ宮殿には寒さに弱いオレンジやレモンの木を越冬させるための温室『オランジュリー(orangerie)』もあり、数百年の時を経て、今なお使い続けられています。

Kahorin
Kahorin

冬の寒さが厳しいフランスでも温暖な気候を好む植物を栽培できるように、オランジュリー(温室)は年間を通じて10℃程度を保つよう設計されています。オレンジの木は贅沢の象徴として、17世紀頃の王室や貴族階級の方々にこよなく愛されたようですね。

オレンジビター精油(Citrus aurantium)

ビターオレンジはオレンジスイートより渋味のある香りが特徴です。
ビターオレンジからはビターオレンジ精油の他に、花を原料とするネロリ精油、葉や枝を原料とするプチグレン精油が抽出されます。
原産地は、オレンジスイートと同じインドです。

オレンジビターの果実は、苦味が強いためそのまま食するには適しませんが、マーマレードや調味料に用いられます。

マンダリン精油(Citrus reticulata)

ベルギーやフランスで実践されているメディカルアロマテラピー(フランス式アロマテラピーとも呼ばれます)の世界では、マンダリン精油は非常に有用性の高い精油の一つと考えられています。その理由は、微量ではありますがアントラニル酸ジメチルというエステル類の成分が含まれているからです。

ちなみにエステル類はとても良い香りが多く、フローラル&フルーティーと表現できる成分です。例えば、ジャスミン・イランイラン・クラーリセージ・ラベンダー・ベルガモット・ネロリなど、有名な精油がずらーっと並んでいます。そこに、マンダリン精油、プチグレン精油(オレンジビターから抽出される)そしてブラックスプルース精油が加わります。

(エステル類については、2023年8月あるいは9月に開催予定のアロマテラピーセミナーLesson3でお話し致しますので、どうぞお楽しみに。開催日時の詳細は7月中にご案内の予定です。)

エステル類の作用はいろいろありますが、何といっても「バランス調整」「精神的苦痛を和らげる作用」でしょうか?「精神的苦痛を和らげる作用」に関しましては、宜しければフラワーレメディ「アスペン」のページもどうぞご覧ください。

精神的苦痛の中でもエステル類は「不安や心配・気分の浮き沈みがある・動揺」などに対する作用を持っています。そしてエステル類の中でも特に、神経伝達物質セロトニンの生合成に関与するアントラニル酸ジメチルが含まれるマンダリン精油を、フランス式のアロマセラピストは高く評価しているのだと思います。

Kahorin
Kahorin

心の安らぎや睡眠と直結する神経伝達物質セロトニンについては、いづれかのセミナー内でお話ししますね。文章では、なかなか説明が難しいのです、すみません。

オレンジスイート精油とマンダリン精油、どのように使い分ける?

2つの精油の共通点

オレンジスイート精油、マンダリン精油どちらも、消化機能を助ける作用・腸管の蠕動(ぜんどう)運動を高める作用を持っています。

では、違いは?使い分けはどうしましょう?

オレンジスイート精油:緊張を和らげ気分を明るくしたい、ストレス・疲労などで食欲が低下し、「食」が進まない、あるいは「空腹感を感じにくい」時に

マンダリン精油:不安、心配、不安定な気分、神経過敏に対する比較的強い作用があります。それらが緩和されることで、肩のチカラが抜けて気持ちにも余裕が出てきますし、安眠や睡眠の質の向上にも働きかけてくれます。

アロマテラピーを実践する際には、精油の注意事項などいくつかあります。使い方を間違えますと、効果が得られないばかりか、皮膚刺激や光感作など思わぬトラブルを引き起こしてしまうこともあります。精油の正しい知識を身につけて、安全かつ効果的にアロマテラピーをお楽しみくださいね。
なお、注意事項などご不明な場合には「お問い合わせ」よりお知らせください。

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