牧野博士が最愛の妻に捧げたスエコザサ ( Sasaella ramosa var. suwekoana)

スエコザサ 誰かに話したくなる植物のお話

朝ドラ『らんまん』のモデルとなった植物学者・牧野富太郎博士は、宮城県で発見した新種のササに、博士の研究生活を長年支えた寿衛さん(本名は、すえさんだそうです)に因ちなんで学名を付けました。

それにしても、きれいな花を咲かせる植物も他にたくさんあるのに、なぜ「ササ」に最愛の妻の名前を付けたのでしょうか?

スエコザサは、真冬の氷点下20度でも枯れずに芽を残して生き残る力強さと、葉のしなやかさ、美しさが寿衛さんの姿と重なり、新種のササに「スエコザサ」と名付けられたと言われています。

東北で新種のササを発見した後、牧野博士はご自身が編集していた『植物研究雑誌』で、これまで自分を支え続けてくれた妻への感謝の想いを込めて献名し、和名をスエコザサ、学名:Sasaella ramosa var. suwekoana と発表しました。

しかし病に伏していた妻・寿衛さんは、雑誌が発行される5日前の1928年(昭和3年)2月23日、永眠されました。その後、博士は墓標に「世の中のあらむかぎりやすゑ子笹」と刻み、東京練馬のご自宅の庭にスエコザサを植え、終生大切にされたそうです。

スエコザサは、京都府立植物園のタケ・ササのエリアで観察することができます。

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